2022年 8月 14日(日) 聖霊降臨節・第11主日 礼拝説教
 

「みんな違って、それが味」
  コリントの信徒への手紙一 12章4〜11節  
北村 智史

  新型コロナが猛威を奮っています。東京府中教会でも7月の末に妻が感染し、私も濃厚接触者となってしまいましたので、医師の指示に従い、2週にわたって教会を閉鎖し、HPに説教を載せてそれぞれのご自宅で礼拝を守っていただきました。今日はまた久しぶりに、この会堂で愛する信仰の家族と共に神様に礼拝をお捧げすることができて、本当に嬉しく思います。しかし、新型コロナに関しては本当に注意が必要と言いますか、本当に誰がいつ感染してもおかしくないような、そんな状況が続いています。教会として感染対策を徹底しながら礼拝を行っていくのはもちろんですが、少しでも不安を感じられる方は、もう妻も回復していますので、妻がyou tubeにアップしてくれる動画を見ながらご自宅で礼拝を守られるという判断も遠慮なく行なっていただきたいと思います。人々の大切な命が守られますように、また一日でも早くこの新型コロナの混乱が収まりますように神様にお祈りしています。
  さて、そんな今日は聖書の中からコリントの信徒への手紙一12:4〜11を取り上げさせていただきました。ここには、教会の中で皆が持っている賜物について書かれています。もともと神様の御心に適う存在として造られた私たちには、聖霊を通して、皆素敵な賜物が与えられています。それは、人によって本当に様々なんですね。
  東京府中教会にも、色々な賜物を持った人がいます。お金の管理に長けた人、全体の実務に気を配るのが得意な人、子どもが好きで子どもと関わるのが好きな人、新しく教会に来た人に話しかけるのが得意な人などなど。牧師が一人で説教を語っているだけでは、教会は回りません。教会というのは、神様から与えられたそれぞれ異なる賜物を活かし合って、豊かな務め、豊かな働きを為していく集まりなのです。一人ひとり神様から与えられている賜物が違うから、私たちはそれを活かし合って、一人ではできない大きな働き、大きな務めを教会として為していくことができるんですね。
  それはオーケストラとよく似ていると思います。私は大学にいた頃、オーケストラといって、色々な楽器で一つの曲を演奏する、そういう部活に参加していました。オーケストラにはどんな楽器があるか知っているでしょうか。弦楽器では皆さんが良く知っているヴァイオリン、それよりも少し大きくて低い音が鳴るヴィオラ、座って弾くチェロ、立って弾く大きなコントラバス、木管楽器ではフルートにオーボエ、クラリネットにファゴット、金管楽器ではトランペットにトロンボーンにホルン、打楽器ではティンパニー、曲によってはこれにピアノがついたり、ハープがついたり、スネアという太鼓がついたりします。皆さんはどれだけの楽器を知ってるでしょうか。肝心なのはどれ一つとして、同じ音色は存在しないということです。
  同じドの音を出しても、ヴァイオリンとフルートでは音が違うし、クラリネットとトロンボーンだって全く違う音がします。もしも一つの楽器だけで、ドでもソでもいいのですが、同じ音を出していたらつまんないです。それぞれがそれぞれの音色を持っていて、色々な音を合わせるからものすごくスケールの大きい深みのある曲を演奏できるのです。
  私たちも一緒です。今ここにはこれだけの人がいるけれど、誰一人として同じ人はなく、それぞれがそれぞれのかけがえのない音色、個性、賜物を神様から与えられています。それぞれ違うそれらを神様の下で合わせて協力し合うから、私たちはひとりではできない大きなことも成し遂げていくことができるし、神様の愛だって広めていくことができるのです。
  さらに言えば、楽器というのは傷がついたり、穴が開いたりしてしまったら良い音色は出なくなってしまうけど、人間というのは決してそうではありません。その傷、その穴を通してしか出てこない深い音色というものがあるのです。
  私は東日本ユースキャンプという、教会に集う高校生たちのキャンプのスタッフをしているのですが、今年は新型コロナのため、当初予定していたように新潟で泊まり込んでのキャンプはできず、7月26日、27日とzoomでキャンプを行いました。今年のキャンプのテーマは、「みんな違ってみんなヘン!?〜弱さを取り戻して生きる〜」というものでした。チャプレンの先生自体がこれまで紆余曲折の人生を歩んできて、人生すんなりとはいかなかった。けれども、その経験が今になって全部活かされていることを思えば、人生、無駄な経験は何一つない。全部自分の糧、自分の個性、自分の賜物となって蓄積されていく。だから今抱えている皆の弱さも大切にしながら生きていこう。それが未来の自分に繋がっていくから。そんなメッセージが込められたテーマだったと思います。
  私も含めてスタッフも皆それぞれの歩みの中で紆余曲折ありまして、傷ついたり穴が開いたりする経験をしてきたわけですが、それが不思議と今の自分の賜物になっているお話をたくさん高校生たちにお話ししました。神様の愛の下、傷も穴も、皆それが自分の味わい、個性、賜物になっていく不思議と恵みを高校生たちと共有しました。
  それぞれの人生の中で磨かれてきた皆さんという楽器は、「みんな違って、それが味」です。その音色を合わせる時、私たちにしか演奏できない神様を称えるダイナミックな曲が奏でられることでしょう。皆の人生を導いてくださる神様に応えて、一人ひとりの味わい、個性、賜物を豊かに発揮して、互いに思いやり、支え合いながら、みんなでそれらを合わせて、私たちを温かく包み込んでくださる神様の愛を告げ知らせていく素敵な曲を創りあげていきましょう。神様はその真ん中で、いつも皆の上に優しく手を置いて祝福してくださっています。
             祈りましょう。  ――以下、祈祷――

 
 
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