2021年 11月 14日(日) 降誕前 第 6主日・礼拝説教
 

「未来に武器はいらない」
  イザヤ書 2 章 1〜5節  
北村 智史

 今日は幼児祝福の礼拝を神様にお捧げしています。この幼児祝福礼拝について簡単にご説明いたしますと、東京府中教会では毎年11月の第二日曜日に、教会に連なる子どもたちが神様に守られ、健やかに成長するよう、キリストに連なる一つの家族として祝福を共にお祈りする礼拝を神様にお捧げしているのです。毎年、この日には7歳以下の子どもたちにお葉書をお出しして礼拝にお招きするのですが、今年は新型コロナのために招待のお葉書はお出しせず、祝福のカードと記念品を子どもたちにお送りするという風にいたしました。なので、例年に比べますと、子どもたちの出席は少ないかもしれません。また、現在は礼拝に来る人数も制限していますので、この礼拝に出席したいと願いながらも、それが叶わなかった方も多くおられると思います。皆で一つの所に集まって祝福の礼拝をというわけにはいかない、そんな中ですが、たとえ距離は離れていても心を一つにして子どもたちの祝福をお祈りしたいと願います。教会に子どもたちが宝物として与えられている恵みを神様に感謝しながら、子どもたちの健やかな成長を皆でお祈りしましょう。
  さて、そんな今日は聖書の中からイザヤ書2:1〜5を取り上げさせていただきました。どんなことが書かれてあったでしょうか。皆が持っている聖書では、このイザヤ書2:1〜5の前に「終末の平和」と小見出しが打たれていると思います。つまり、イザヤ書のこの個所は、終わりの日に神様が成し遂げてくださる平和について書かれたものなのです。
 その中でも、特に大切なのは4節の御言葉です。「主は国々の争いを裁き、多くの民を戒められる。彼らは剣を打ち直して鋤とし/槍を打ち直して鎌とする。国は国に向かって剣を上げず/もはや戦うことを学ばない。」あらゆる武器が捨てられ、平和の道具に変えられて、一切の戦争がなくなる。そんな平和が終わりの日に神様によって成し遂げられる、そんな幻を預言者イザヤという人が見たと記されているのです。そして5節には、「ヤコブの家よ、主の光の中を歩もう」と、神様に連なる人々に、神様が示してくださった希望のビジョンに沿って歩もうではないかという呼びかけが為されています。
  今の私たちも神様に連なる人々です。私たちもまた今日の聖書個所のビジョンに沿って、このビジョンが実現するように歩んでいかなければなりません。あらゆる武器を捨て、平和の道具に変えて、一切の戦争をなくしていかなければならないのです。
  しかしながら、ここで今の私たちの世界を振り返ってみれば、どうでしょうか。先月の中旬頃のことです。テレビや新聞では「極超音速兵器」に関するニュースが盛んに報道されていました。「極超音速兵器」というのは、音速(音の速さ)の5倍以上の速さで飛行し、軌道を変えながら飛ぶミサイルなどの兵器のことです。撃ち落とすのが難しく、防御できないということで、これを持っていたら、「自分たちはこんな恐ろしい武器を持っているぞ」ということで他の国を脅せる、他の国よりも優位に立てるんですね。なので、中国もアメリカもロシアも競うように実験を行い、開発を急いでいる、またオーストラリア、インド、フランス、ドイツ、日本といったその他の国でも開発・研究が進められているというニュースが報道されていました。
  こうしたニュースを見聞きして、「人間はいつまでこんなことを続けるんだろう。神様が示してくださったビジョンと正反対の方向に進み続けているな」と素直に思わされました。コロナ後の時代は、コロナ前の時代よりも良くしていきたいと思うのですけれども、こうした状況では、コロナ後の時代も明るい将来の兆しが見えないなと暗い気持ちにさせられた次第です。
  幼児祝福礼拝の今日は、私たち、改めてどんな世界を子どもたちに受け継がせていきたいか、しっかりと考えたいと思います。武器や争いのない、平和な世界か、武器だらけで競争し合う、争いと分断だらけの世界か、神様が望まれるのはどちらの世界か、今日の聖書個所をしっかりと読んで考えましょう。また、願わくは今の子どもたちが、武器を使って脅し合い、蹴落とし合う大人たちの考え方に染まることなく成長してほしいと願います。「未来に武器はいらない」。この言葉をスローガンに、神様が示してくださったビジョンの中を歩んでいきたい。あらゆる武器を捨て、平和の道具に変えて、一切の戦争をなくしていく道を皆で一緒に歩んでいきたいと願います。
             祈りましょう。 ――以下、祈祷――

 
 
Copyright© 2009 Tokyo Fuchu Christ Church All Rights Reserved.